ANAのアップグレードポイントとは?お得な使い方や隠れ裏技あり
ANAのアップグレードポイント(通称:UGP)とは上級会員だけに付与される特典の1つです。
アップグレードポイントの使い方は3パターン。
- 座席クラスのアップグレード
- ラウンジ利用
- ANAスカイコインへの交換
アップグレードポイントの有効期限は取得した年の翌年3月31日までとなり、期限を過ぎると無効となってしまうため早いうちから有効活用しましょう。
この記事ではANAのアップグレードポイントを有効活用する方法や期限間近でも無駄にならない使い方をご紹介します。
ANAのアップグレードポイントとは上級会員だけのボーナス制度
アップグレードポイントとは、読んで字のごとく座席クラスのグレードをアップするためのポイントのことです。
国内線の場合はプレミアムクラスへ、国際線の場合はビジネスクラスやファーストクラスへアップグレードする場合に利用できます。
マイルでもアップグレードはできます(※ANAマイルの使い道)が、上級会員であるプレミアムメンバーには、マイルやプレミアムポイント( PP : Premium Point )とは違ったポイントを付与してアップグレードしやすくする制度です。
空港ラウンジで使う方法やANA SKYコインに交換する際にも利用できます。
今回は座席クラスのアップグレードにフォーカスして解説します。
このアップグレードポイントの制度はJALにはなく、ANA特有の制度です。ANAと同じスターアライアンスに属するユナイテッド航空にも同様の「プラスポイント」と呼ばれる制度があります。
基本的にプレミアムポイントに応じて貯まる
アップグレードポイントは、プレミアムメンバー(上級会員)向けに、毎年1月1日から12月31日に搭乗して獲得したプレミアムポイント(PP)の数量に応じて付与されます。
また、後述しますが、ダイヤモンド会員向けの選択式特典の中にもアップグレードポイントの選択肢があります。
※出典元:ANA「アップグレードポイントとは」
SFC会員なら一律4ポイント上乗せ
ANAマイレージクラブ(AMC)の会員になり、ある年にANAグループ便(ANA・エアージャパン・ANAウイングス)、スターアライアンス加盟航空会社およびスターアライアンスコネクティングパートナー運航便に搭乗して年間5万PP以上を獲得すると、プラチナサービスメンバーになれます。
プラチナステイタスを獲得すると同時に、スーパーフライヤーズカード会員に申し込める権利ができます。
会員になるためにはSFC(Super Flyers Card)指定のクレジットカードを作る必要がありますが、そのクレジットカードの年会費を払い続けている限り一生涯SFC会員を維持することができます。
SFC会員になるとアップグレードポイントが一律4ポイント上乗せされますが、1暦年の間に最低1回はANAグループ便に搭乗する必要があります。
この上級会員制度は海外の航空会社にもあり、JALにも同様のJGC(JAL GROBAL CLUB)会員制度がありますが、一度上級会員になり、クレジットカードの年会費を納めている限り上級会員のステイタスを継続できるのは日本独特の制度です。そろそろこの日本独特の制度も終わるのではないかと噂されていますので、ANA and/or JAL の上級会員にまだなっていない方は、是非とも今年中になっておくことを強くおすすめします。
付与日は翌年2月1日
ANAアップグレードポイントは、1月1日~12月31日の搭乗実績により獲得したPP数に応じて、原則翌年の2月1日に付与されます。ただし、PP数や年度によっては後にずれることもあるようです。筆者の加算実績は2022年は2月1日でしたが、2023年は2月9日でした。SFC会員向けの4ポイントは、2023年3月31日に付与されました。
有効期限は年度内の4月1日から翌年3月31日
2月1日に加算されたアップグレードポイントは、その年の4月1日から翌年3月31日までの搭乗分にしか使用できません。
また、未使用のアップグレードポイントを翌年の4月1日以降に持ち越すことはできません。
そのため、毎年2~3月頃になると残っているアップグレードポイントを3月31日までに消化しようとするSFC会員が増えます。3月31日までに使い切れない場合は、1アップグレードポイントを1,000 ANA SKY コインに交換する方法もあります。この交換を忘れると最悪の結果となり、折角のアップグレードポイントを流してしまうことになります。
アップグレードポイントとマイル・PPの違い
アップグレードポイントはANA独自のものですが、マイルは世界中のエアライン共通です。
マイルは本来では距離の単位として使われ、1マイルは約1.6㎞です。PP(プレミアムポイント)はANAグループの呼び方で、JALはFLY ON ポイント( フライオンポイント:FOP )と呼んでおり、マイルとは別に積算される上級会員ステイタスを決定するためのポイントです。
マイルとは
マイルは距離の単位(1マイルは約1.6㎞)であり、それを語源にして航空会社が顧客向けに提供しているポイントのこととして使われています。
また、似たような言葉で「マイレージ」というものもあります。
本来はマイル数や距離数のことですが、マイルをポイントと考えて、獲得マイルに応じて航空会社が顧客に特典を与えるポイント(マイル)プログラムのことをマイレージと呼ぶ場合もあります。
プレミアムポイント(PP)とは
プレミアムポイントは、区間基本マイレージに予約クラス・運賃種別ごとの積算率と路線倍率をかけ、搭乗ポイントを足して計算されます。
区間基本マイレージは出発空港と到着空港の距離をマイルで表したものです。一部の近隣空港は同一地点として計算されます。
日本だと羽田空港と成田空港は東京、伊丹空港と関西国際空港と神戸空港は大阪、としてマイレージは同じになります。
予約クラス・運賃種別ごとの積算率というのは種類が多く複雑なので、積算率は予約の際に「ANAフライトマイル・プレミアムポイントシミュレーションレージチャート」の公式サイトでも必ず確認することをおすすめします。
アップグレードポイントの基本の使い方3種類を比較
アップグレードポイントの使い方は3種類あります。
- 座席クラスのアップグレード
- ラウンジ利用
- ANAスカイコインへの交換
この3種類の中でもおすすめの使い方は国際線の座席クラスアップグレードです。特別な事情がない限り、国際線での座席クラスのアップグレードが金額的にも一番お得です。
3種類についてそれぞれをもう少し詳しく説明します。
座席クラスのアップグレード
↑2019年アップグレードポイントを使ってエコノミーからビジネスクラスにアップグレードしました。
座席クラスのアップグレードは、利用できる対象者が限定されます。SFC会員本人と特典利用者登録をしている人となります。
特典利用者登録ができる対象の人とは、SFC会員本人から2親等以内の人で、ANAマイレージクラブ会員である必要があります。2親等というと、親、子供、配偶者はもちろんのこと、兄弟姉妹やその配偶者、祖父母、孫、配偶者の親や兄弟姉妹、子供や孫の配偶者まで対象となります。
特典利用者登録可能親族図(2親等以内)
また、座席クラスのアップグレードについては国内線と国際線でルールが違いますので、それぞれについて後で詳しく解説します。お得度と使いやすさは断然国際線での利用になります。
ラウンジ利用
ANAグループ便を利用する場合にラウンジを利用できますが、プレミアムメンバー本人と同行者1名までは無条件で利用できます。
同行者2人~4人目の場合にアップグレードポイントを活用することができます。
必要ポイントは1名につき2ポイントです。
また、プレミアムメンバー本人は利用しないけれども、特典利用者登録をした人のみがラウンジを利用する場合も、アップグレードポイントを活用できます。
この場合も1名につき2ポイント必要です。
ただし、プレミアムメンバーでもブロンズサービスメンバーの場合は、本人がラウンジを利用する場合も、2ポイント必要となり、同行者も4名まで1名につき2ポイントで利用できます。ブロンズサービスメンバーの特典利用者登録済の人のみで利用する場合も、1名につき2ポイントで利用できます。
ANAスカイコインへの交換
アップグレードポイントは、1ポイントをANA SKYコイン1,000コインに交換することができます。
ANA SKYコインは、航空券の購入やANA WEBサイトでの旅行関連グッズの購入に使用することができ、1コインあたり1円として計算されます。このことからANA SKYコインへ交換する場合は、アップグレードポイントは1ポイント当たり1,000円の価値になることがわかります。
実際には、ANA SKYコインへの交換は最後の手段として使われることが多いようです。つまり、アップグレードポイントの有効期限が切れる3月末が近づいても、アップグレードポイントが消化しきれない場合に、ANA SKYコインに交換することになります。
このANA SKYコインへの交換を忘れて4月を迎えてしまうケースもあるようなので、注意が必要です。
アップグレードポイントによる座席クラスアップグレードのルール
アップグレードポイントを利用した座席クラスアップグレードには利用ルールがあります。
国内線と国際線でルールが異なりますので、それぞれ見ていきましょう。
国内線の場合
座席クラスのアップグレードを国内線で利用する場合は、搭乗する2日前から空席がある場合に限り、普通席からプレミアムクラスへアップグレードさせることができます。
この時、同一予約番号内に複数の者がいる場合は、全員がアップグレードの対象になります。一部の者だけがアップグレードすることはできません。
必要ポイントは1区間で一律4ポイントです。
搭乗2日前から空席がある場合に限りというのがクセモノで、ステイタス修行者の人気路線である羽田空港と那覇空港間のプレミアムクラスは、2日前だとほぼ満席状態です。とはいえ、土日でも奇跡的に空席があることもあります。
※プレミアムクラスにアップグレードされても、搭乗により付与されるPPは予約時の普通席としてのPPが適用されます。ここは勘違いしやすいところです。
国際線の場合
座席クラスのアップグレードを国際線で使用する場合は、ANAの公式サイトの解説では初めての人は理解しにくいのでわかりやすい表現に直したいと思います。
ANAの公式サイトの解説を引用します。
あらかじめ、アップグレード特典をご利用になる全区間の予約済み航空券をご用意ください。対象になる予約クラスの場合に限り、アップグレードをお申し込みいただけます。
筆者がはじめて国際線でアップグレードポイントを活用して座席のアップグレードの挑戦しようとした時に、この解説の中の「全区間の予約済み航空券をご用意ください」という表現がすぐには理解できず、ネット上で調べに調べた結果、実際にお金を払って航空券を購入しなければならないことがわかりました。
マイルを使った特典航空券は、国内線はアップグレードの対象になりますが、国際線はアップグレードの対象になりませんので、注意が必要です。
さらに、次の表現「対象になる予約クラスの場合に限り」もなんとなくしか理解していなかったので、ネットで調べまくりました。
ANAの国際線の航空券予約サイトから出発地・到着地と往路出発地・復路出発地などを入力して検索するといくつかのクラスが出てきますが、この中でアップグレード可となっている運賃を選ぶ必要があるということもわかりました。
国内線との違いは、搭乗2日前からという制約がなく、航空券を購入したらすぐにアップグレードポイントを使って座席クラスのアップグレードをすることができることです。
また、アップグレードの種類も、普通席からプレミアムクラスだけではなく、下記表の通り3種類のアップグレードがあります。
※出典元:ANA「ご利用条件(ANA国際線アップグレード特典)」
アップグレードポイント(UGP)は路線やアップグレードする座席レベルによっても違ってきます。ANAのHPには詳細が紹介されています。
ファーストクラスの設定がある欧米・一部ロシア路線を例に解説致します。
仮にエコノミークラスからアップグレードするとしても、アップグレード可能な運賃はアップグレード不可の運賃と比べるとかなり高いと感じます。
しかし、その運賃で購入しておかなければアップグレードはできません。
エコノミークラスからビジネスクラスにアップグレードする場合はUGP 10ポイントが必要です。ビジネスクラスからファーストクラスにアップグレードする場合は、UGP 20ポイント必要です。エコノミークラスからファーストクラスへのアップグレードはUGP 30ポイントが必要となります。
※出典元:ANA「ご予約(座席クラスのアップグレード)」
アップグレードポイントの国際線での裏技的使い方
次にアップグレードポイントの裏技的な使い方(小技?)をご紹介します。
国際線ではアップグレード可能な運賃で購入する必要があると説明しましたが、ダイヤモンドサービスメンバー限定で必要ポイントの2倍を払い、当日に空きがあれば、どんな運賃で購入した航空券でもアップグレードが可能という方法があります。
ANAの公式ページにも載っているので裏技ではありませんが、搭乗日前日までに「ダイヤモンドサービス」メンバー専用デスクに電話で申し込みをする必要があります。
アップグレードポイントの貯め方3種類
アップグレードポイントの貯め方は、大きく3種類あります。それぞれについて説明します。
前年の搭乗実績(ブロンズ以上/ANA便のみ対象)
ブロンズサービス以上のステイタスがあれば、ANAグループ便に乗って獲得したプレミアムポイント数に基づいて付与されます。
ブロンズ以上のSFC会員(4ポイント/年)
スーパーフライヤーズ本会員で、ANAグループ便を1度でも利用してPPを獲得すれば、一律4ポイントが付与されます。
ダイヤモンド会員の選択特典(12ポイント/年)
ダイヤモンドサービスメンバー向けの選択式特典の中にもアップグレードポイントを12ポイント進呈するコースがあります。選択式特典のおまけであるサブアイテムの中にも、SKYコイン20,000コインかアップグレードポイント4ポイントの選択肢があります。
アップグレードポイントの確認方法
アップグレードポイントの数量の確認方法をご紹介します。すぐに表示されるのは、AMC(ANA MILEGE CLUB)の専用アプリです。ホーム画面にマイル、プレミアムポイント、SKYコイン、アップグレードポイントの数値がそれぞれ表示されます。
※出典元:ANAマイレージクラブ アプリ
座席クラスアップグレードの実際のやり方
国内線の場合
直前でもプレミアムシートが比較的空いている路線『名古屋(中部)→長崎』で実際にアップグレードを行った方法を、スマホのスクリーンショットと共に解説します。
前提条件として名古屋(中部)→長崎の航空券が購入できています。今回のケースではスーパーバリューセールで2023年4月14日(金)搭乗分の航空券を2名分購入済です。
搭乗2日前になった瞬間の午前0時になったら直ちに予約詳細を確認します。この時、プレミアムシートに空きがあれば、プレミアムクラスへのアップグレードはこちらからお手続きください。」と表示されるので、「アップグレード手続き」ボタンをタップします。
※出典元:ANA アプリ
「アップグレードの手続き」をタップすると、「アップグレード手続き可能」との表示が出てきて、「アップグレード料金・ポイント」が表示されます。今回は2名分のため、10,000円または8ポイントとなっていますが、1人の場合は5,000円または4ポイントとなります。確認して問題がなければ「手続きへ」ボタンをタップします。
「手続きへ」をタップすると座席を選ぶ画面が出てきます。ここで希望する座席を選択してページ下部の「指定する」ボタンをタップします。今回は2人分の指定をしました。
「指定する」ボタンをタップすると、「お支払いが完了しました。」のメッセージが表示され、「予約・購入状況」が「購入済み」になっていればアップグレード手続きは完了です。
国際線の場合
スマホのANAアプリを使ってエコノミークラスからビジネスクラスへのアップグレード方法を、具体例に基づいてご説明致します。今回は筆者が2023年3月にマニラから羽田空港へのANA便の片道分だけをUGPを使ってアップグレードをしましたので、この路線を例にご説明致します。
まずはアップグレード可能な航空券の購入をする必要があります。
ANAアプリの空席照会・予約から国際線、予約、片道を選び、出発地と到着地、出発日を選択します。前後3日の運賃を比較のチェックは入れても入れなくても構いません。エコノミークラスを選び、次は「ビジネスクラスへアップグレード可能な運賃」を選んで下さい。デフォルトでは「価格重視の運賃」となっていますので、必ず変更して下さい。人数は1を選択して下さい。2人グループでも1人ずつ分けて予約し、それぞれアップグレードする方が取り易くなります。
出発日を指定して「次へ」をタップすると、フライトの候補が挙がってきます。さらにそのリストの一番下の「アップグレード空席情報を反映する」をタップします。すると、アップグレードが可能なフライトは「アップグレード 空席あり」と表示されます。
詳細を確認すると、プレミアムエコノミーとビジネスの両方が「空席あり」になっています。ここでアップグレードしたいクラスのシートマップも出てきますので、望みの席が見つかれば、「次へ」をタップして航空券を購入します。
この後、購入の際には、姓名の確認やAMCのPWの確認、支払方法などの確認があります。
予約ができたら、予約状況の確認から内容を確認します。すると、「アップグレード申し込み」というアイコンが表示されるのでタップしてビジネスクラスを選択し、「アップグレードポイントを使う」にします。シートマップから座席を選んでアップグレードが完了となります。
途中、73,600円でビジネスクラスにアップグレードできます、との表示が出てきますが、今回はUGPを8ポイント使用しますので、1ポイント当たり9,200円分に相当します。SKYコインへ交換すると1ポイント1,000円にしかならないので、大幅にお得度が増します。これが欧米路線のファーストクラスやビジネスクラスへのアップグレードに利用する場合は、1ポイント数万円相当になることもあります。前述したように、国際線での座席クラスのアップグレードが金額的にも一番お得です。
アップグレードポイントに関する教訓や注意点
アップグレードポイントは余らせてSKYコインに交換することは避けたいので、年度初めの4月から積極的に利用した方がよろしいかと思います。
ただし、国内線のプレミアムシートにアップグレードされることだけを狙っても、出てくる食事がアップグレードポイント4ポイントとは釣り合わないケースもありますので、そこは良く見極めるべきだと思います。
実は今回の名古屋(中部)→長崎のフライトでは、筆者は長崎空港からレンタカーを予約していたので、機内でアルコール類を飲むことができず、せっかくプレミアムシートにアップグレードしてもあまり有効活用ができませんでした。
また、1時間半程度のフライトでは食事も軽食しか出ないので、同じ4ポイントを使用するのであれば、もう少し長いフライト時間の方で利用する方が良いと思いました。
また、今回は妻の分も筆者が一緒に予約してしまいましたので、アップグレードポイントも筆者の方から使うことになってしまいました。妻も単独でSFC会員になっており、アップグレードポイントも24ポイント持っていたので、1人ずつ予約するべきであったことが教訓となりました。